子宮筋腫とは・・・
子宮の壁にできる良性の腫瘍。原因は不明。遺伝子発現異常が関係すると考えられている。
女性ホルモンであるエストロゲンの影響を受けて大きくなる。
30歳以上の女性の3割前後にあると言われている。
病歴について
20代前半・・・職場の健康診断(婦人科検診)で、「子宮筋腫」が見つかりレディースクリニックへ通い始める。経過観察で年に数回受診するも、約10年間 ≪経過観察≫ のまま。
30代前半・・・「子宮筋腫」が5.5cm となり、手術適用かどうか、総合病院での受診を勧められる。入院する可能性を考え、実家近くの総合病院へ。MRI 「経過観察で良い」との診断。
35歳・・・妊娠 切迫流産→切迫早産+妊娠糖尿病により4か月間入院。普通分娩で出産。
36~44歳・・・レディースクリニックへの定期受診で経過観察。区の子宮頸がん検診も受診。
45歳・・・区の子宮頸がん検診の為、総合病院へ。子宮筋腫、月経前症候群(PMS)について相談。子宮全摘出手術を勧められる。手術するか否かの判断は、私に委ねられ、悪性ではない為、経過観察のまま閉経を迎えるという選択肢もあったが、手術を希望した。
症状
生理周期・・・28~30日。ずれることはほとんどなかった。
月経前症候群・・・20代より複数の症状あり。下腹部痛、頭痛、頻尿、イライラ感、抑うつ感等 →加味逍遙散を服用(自己判断)、 痛み止めとしてEVEを服用
月経中・・・2日目に大量出血あり(ほぼ毎回)。1時間に1回以上生理用品を交換。過度なダイエットをした際には、数分でスカートが血だらけになるほどの大量出血あり。レバー状出血多め。頻尿(就寝中2回、日中15〜20回くらい)
入院前
医師のコメント・・・「子宮は他の臓器と異なり、赤ちゃんを守る以外の機能はほとんどない。もし妊娠を望んでいないのであれば、役目はもう終わっている。子宮筋腫により、生活に支障が出ているのであれば、手術で摘出することで生活の質が上がる」
手術を提案された時の心境・・・まずは「嬉しい!!」 月の半分は体調不良で、出産後は「子宮を取ってしまいたい」と願うほど、日常生活に支障をきたしていた。特に頻尿については、外出中に常にトイレの心配をする必要があった。月経中は大量出血に配慮して、遠出をする時は大人用紙おむつを履いた上にナプキンをするなど、気苦労もあり大変だった。親族で、子宮筋腫により子宮全摘出をした者がおり、手術後のQOL(生活の質)向上についてはよく知っていたので、不安感はあまり無かった。
妊娠の希望について・・・第一子妊娠時、切迫流産→切迫早産+妊娠糖尿病で約4か月入院しており、再度の妊娠の希望が全くなかった。また、子育て中(現在継続中)も、「もう一人欲しい」と全く思わず、今いる子どもに全力で向き合うようにしている。その為、妊娠希望無し。
日常生活・・・「これが人生最後の生理」と思うととても嬉しい。その反面、手術を受けている夢、入院している夢をよく見た。また、「万が一手術のトラブルで死んでしまったら・・・」ということをよく考えるようになった。入院5日前より、子どもが鼻風邪。一緒の部屋で寝ないようにし、マスク、鼻うがいなどをして対策したが、感染。症状は鼻水のみ。平熱だったので予定通り入院した。入院時に、熱が37.5℃以下であることが条件。平熱だった。
入院前の手続き(検査など)
検査・・・入院一か月前にした検査は、採血(HbA1cも項目に追加してもらった)、採尿、心電図、レントゲン
診察・・・麻酔科、婦人科、内科
手続き・・・入退院の説明
※内科にてHbA1cの数値について、手術に支障無しとの診断。
子どもの反応
入院の約2か月前、子どもに「手術をするので、約一週間入院するよ」ということを伝えた。また、子宮筋腫についても、わかりやすく説明したところ、大泣き。
専業主婦として子育てに向き合っており、長時間子どもと離れた経験がない。また、私が泊まりで不在になるということも無く、留守番の経験も半日程度しかないので、「ママがいないなんて想像するだけで耐えられない」とのこと。
入院までの2か月間で、身支度などをなるべく自分のことは自分で出来るように準備した。また、こういう場合はどうする・・・等、具体的に一緒に考えることにした。
スケジュール表を作成し、何時に何をすべきかわかりやすく説明した(学校への持ち物、習い事など)。
入院中に気が紛れるようにプレゼントを買っておいた。
手術方法
【手術の方法】
子宮筋腫に対する手術は以下の通り(開腹手術はあまり最近ではやらない)
子宮筋腫核手術・・・手術後に妊娠を希望する場合など、子宮を残して筋腫のみ摘出
腹腔鏡下膣式子宮全摘出術(TLH)・・・根治目的で、子宮頸がんや子宮体がんなど子宮悪性腫瘍のリスクがなくなる。妊娠を希望しない場合。月経は無くなる。卵巣を温存すれば、更年期障害を引き起こすこともない。
vNOTES(ヴイノーツ)・・・お腹に傷をつけず、膣からアプローチする腹腔鏡手術。腹部に傷がつかないので美容面を気にする方向け。
TLHとvNOTESを選択できたが、腹部に傷があっても気にしないこと、TLHの方が簡単であること、医師のオススメの方はどちらか?という点から、TLHを希望した。
入院前にしたこと
歯科受診→麻酔科医より、虫歯があったり、歯がぐらついていると、酸素を肺に取り込む管で歯が抜けることがあるので歯科受診しておくと良いと勧められた為。
サプリメントの中止→7日前から中止の指示あり(鉄分、ルテイン、血糖サポート、コレステサポート)。
へその掃除→病院からの指示あり。
ヘアカラー、カット→入院中に気になりそうだったので。
アクセサリーを外す→結婚指輪、ピアス
食べたいものを食べる→退院後の痛みの具合でどこまで外出等できるかわからなかったので食べたかった店で外食、気軽に買いに行けないかもしれないので我慢していたフランスパンやキンショウメロンなどを買って食べた。
運動→入院時の採血結果を気にして、普段より多めに水泳に行った。
Netflix→入院中に観たい番組をリストアップしておいた。
家のこと→食料品と日用品の整理と補充。
計画表の作成→家族のスケジュールと、しておいてほしいことをリストアップしておく。
サプライズ→子どもがママ不在の数日を頑張れるようにおやつとバスボムをラッピングしておく。
入院中
一日目・・・
14:00 入院
院内の説明、手術説明、薬剤師・栄養士・内科医師・婦人科担当医が来て説明を受けた。朝昼夕、就寝前に血糖値と血圧測定あり。
とても暇なので、Netflix、TVer、Abema TVをずっと観て過ごした。
夕食は常食 薄味ということもなく美味しかった。
病棟、院内は自由に歩けるが部屋で過ごした。
21:00消灯 個室なので、何時に寝ても良いと言われたが、手元灯だけつけて少しスマホを見て就寝。

二日目・・・
5:45自然に目が覚めた。
7:00浣腸後。浣腸は初めてではないが、冷や汗と吐き気が強く出る→数分で解消。
8:00シャワーを浴びる。
終日食事は無し。
9:30点滴開始
10:30手術前の為、飲水禁止。緊急手術が入り手術時間の変更あり。
14:00歯磨き。手術後は飲食できず寝たきりなので直前に歯磨きをしておくのがオススメ。
14:30手術室まで看護師と歩いて行く。
ティージーパンツ、バスタオルはベッドとともに看護師さんが手術室へ運んでくれる。
手術台には自分で上がり、麻酔科医から寝たまま説明を受ける。麻酔の注射が点滴に入り、10秒もしないうちに眠くなりそのまま麻酔下に。
手術終了後、手術台からベッドに移動してもらいそのまま自分の個室に運んでもらう。ほとんど記憶がない。寒気と痛みを訴えたところ、痛み止めの座薬をいれてもらう。
ひたすら眠く翌朝までぼんやりと寝たり起きたりを繰り返す。担当医や麻酔科医、看護師が来室するのでなんとか返答する。
20:00手術後3時間が経過したので飲水OKとなる。うがいを手伝ってもらいペットボトルの水を飲むがほとんど飲めず。
三日目・・・朝全粥+柔菜の朝食。ほとんど食べられず8割残す。
導尿カテーテルと点滴が入っているので思うように寝返りも打てず、仰向けで寝る。自由に動けないことが辛い。スマホは見る余裕がなく、LINEの返信もできず。
11:00看護師さんと歩行練習。歩行可能だったので、導尿カテーテルを抜いてもらう。
手術着がポリエステルで暑く、持参した綿のパジャマに着替える為、点滴を一旦外してもらう。そのタイミングで、洗顔や歯磨きをしたらスッキリした。
Netflix、TVer、AbemaTVなどを観て過ごす。
20:00抗生物質の点滴
21:30点滴が完全に抜けて、寝返りも気兼ねなくできて楽になる。

四日目・・・
常食、病棟内歩行フリー
担当医が来て、シャワーOKとなる。保護テープや消毒などは一切必要ないとのこと。
15:00診察 手術中の画像を複数見せてもらう。詳しい説明を受ける。摘出した子宮は200g(正常な場合は40~50gらしい)だったとのこと。摘出した子宮は病理検査へ出され次回外来時に結果を聞く。
自分の子宮、卵管、卵巣、膀胱などを始めて見たので興味深かった。また、臓器にべったりと付いた脂肪(よくあることらしい)を見てゾッとした。卵巣から排卵があったばかりで、それが教科書等のイラストの通りだったので感心した。今後は「排卵しても妊娠することは無く体内に吸収されていくのか」と感慨深かった。縫合部は、私が手縫いするよりも細かく丁寧に縫われていて「手術をする医師は手先が器用でないとなれないだろうな」などと考える余裕があった。腹水が見られたがそれも問題ないとのこと。ガスで膨らませて手術をするので、ガスを抜いた後に癒着しないようなシートを貼るのだそう。自分の術前、術後の内臓を見る機会などめったにないので興味津々だった(気持ち悪いなどという気持ちは一切なかった)。
入浴と飲酒は次回外来までNG。それ以外の運動、家事、ストレッチ、自転車に乗る等は、自分の身体が大丈夫ならば全てOKとのこと。

五日目・・・
常食
9:00会計
10:00書類や薬を受け取って退院

退院後、自宅に帰って早速細かい家事をした。ほとんどは夫が行ってくれていたが、洗面台の掃除やトイレ掃除など、気になったので普段通りしていた。
家族の昼食、夕食、デザートまで手作りして、久し振りの家事を楽しんでいたら、腹痛(へその奥)があり、処方された薬を飲んだ。本来ならば、もう一日入院するのが一般的だそうだが、夫の仕事の都合で一日退院を早めてもらったのだが、やはり「ただ寝ているだけ」ということも大切なのだと実感した。
入院時の持ち物
診察券、マイナンバーカード、お薬手帳、ウェットティッシュ、ティッシュ、歯ブラシ、コップ、ごみ袋、シャンプー・トリートメント、フェイスマスク、マスク、ボディソープ、化粧水、保湿クリーム、ゴミ袋、タオル類、下着、充電器、イヤホン、ブルーライトカットメガネ、マスク、アイマスク、くし、綿棒、ハンドクリーム、ペットボトル飲料(水500ml×6本)、洋服の着替え、パジャマ
ティージーパンツ1枚を事前購入。
※タオルとパジャマはレンタル可能だが、自分のものを使用したかったので持参。
★持って行って良かったもの
・ペットボトル用ストローキャップ→手術後、寝たきりの状態で飲水する為
・ワセリン→手術前に唇や鼻周りの保湿、全身保湿
★いらなかったもの
・S字フック→特に使わなかった
・スマホ用イヤホン→個室なのでイヤホン無しで動画視聴できた
★あれば便利だと思ったもの
・置時計→手術後の寝たきりの状態でスマホを開くのは一苦労だった
・耳栓→個室だったが、向かいの大部屋のナースコールや話し声が夜中に気になった
入院にかかった費用
医療費 173,000円
個室代 100,000円
TGパンツ代 660円
合計 273,660円
医療費はマイナンバーカード提示で、高額療養費適用済(※収入により限度額の金額は異なる)
※アメニティレンタル、テレビ、冷蔵庫は別料金の為、利用せず。
医療保険と女性疾病特約でほとんどカバーできた(保険金がおりることがわかっていたので個室を選んだ)。
入院中の自宅の様子
食事→朝昼は夫が自炊、夜は外食と総菜(外食ができて子どもは喜んでいた)
学校の支度→子どもと夫(持ち物等は計画表を作って書いておいた)
寝かしつけ→夫(隣で寝る)
習い事→夫
※4泊5日中、夫が3日間休んでくれた為、こどもが一人で留守番になる時間は無し(初日と最終日は夫と入れ替わりで私がいた)
退院後
痛み・・・退院処方として、痛み止めを10回分頓服で処方してもらった。帰宅してすぐから、掃除や洗濯などを家事をしていた為、昼頃に痛みを感じて痛み止めを飲む。
出血・・・退院時にはほぼ無し。帰宅後も出血は無し。
外来受診・・・3回予定。
まとめ
人生で初めての手術(入院は妊娠時のみ経験済)。
子宮を全摘出して良かったと感じている。
生理は、出血している期間だけでなく、排卵前後から生理終了まで長期間不快感が続いていた。それからの解放が何よりも嬉しい。
手術後、あまりの辛さ(痛み、自由に動けない時間等)で、わずかに手術をするという選択をしたことを後悔したこともあったが、振り返ってみると辛いのは「手術後24時間だけ」だった。
もし、妊娠希望が全くなく、婦人科疾患(子宮)で悩んでいるのならば、この解放感を味わう為にも「子宮全摘出手術」という選択肢は大いにアリだと思う。
子宮からは女性ホルモンは出ておらず、卵巣は2つとも残しているので、手術後すぐに更年期障害になるということもない。入院中は気づかなかったが、退院後、明らかに頻尿が改善されて、それだけでもかなり生活の質(QualityOfLife)が向上したと言える。
また、子どもにとっても、母親不在という人生初の経験をして、成長につながったと感じる。
コロナ禍以降だと思うが、今回の手術で家族の立ち合いは不要だった。夫には立ち合いの予定でいてもらったが、家族への説明等を希望しない場合は特に来院は不要だった。洗濯物を持ち帰る為に、毎日来てもらったので、退院時はバッグ1つで帰宅できた。
また面会時間は、コロナ禍以降、18歳以上の家族のみとされ時間も10分だけだったので、子どもとは直接会えず、個室の窓から手を振るだけだった。
手術を決断する際、私の場合は全く迷わなかったが、状況によっては慎重になる方も多いと思うので、体験談として記録しておく。
おまけ(術後の傷跡を目立たなくするために)
退院後、貼ってあるテープが剥がれたらこちら↓を貼ると、傷跡が広がらずに良いと担当医より勧められた。へそ下の傷(5mm程度)2か所は、跡が残っても気にならないと思ったが、せっかくなので購入しておいた。担当医は美容面への気遣いもしてくれて、説明もわかりやすくとても良い医師に担当してもらったと感謝している。
