創作詩

「せめて氷が解けるよに」

せめて氷が解けるよにゆっくりゆっくりいなくなれある日突然火にかけてぱっと消えてはなりませぬせめて氷が解けるよにとろとろとろとろいなくなれある日突然その生涯(いのち)閉じて消えてはなりませぬせめて氷が解けるよに最期の日までただ祈る
創作詩

「君を泣かせたい」

愛だの恋だの囁いて 君を今すぐ泣かせたい 氷のように冷え切った 君の心を溶かしたい 嘘だの洒落だの呟いて 君を今すぐ泣かせたい 腹を抱えて笑うほど 君の心を溶かしたい 涙を見せない強い君 だから今すぐ泣かせたい 楽になれるまじないで 君の心...
創作詩

「変わらぬ想い」

密封容器に詰め込んだ いつまでも変わらぬこの想い 洋服ダンスの底の奥 いつの日か忘れられるように 閉まって目を背く 密封容器の蓋を開け いつか見た景色を思い出す 何度閉まっても取り出して いつまでも忘れられない あの想いが押し寄せる
創作詩

「愛おしい人」

何もいらない何もしなくていいただそこにいるだけで愛おしい人 何も出来ない何も与えてくれなくていいただ目の前にいるだけで愛おしい人泣いていてもいい怒っていてもいいただこの世にいるだけで愛おしい人 何かが変わった何もかもが変わったあなたに出会っ...
創作詩

「ぺてん師」

僕は気づいた 君の偽りを その目を見れば誰でもわかるよ 僕は気づいた 君の弱さを その笑顔で誰でもわかるよ 僕は気づいた 君の過ちを その声を聴けば僕にはわかるよ 君の幸せを願うから 僕は騙されたふりをする 僕が君に示したのは 君のための道...
創作詩

「慕う人」

名前も知らない 年齢も知らない 顔さえ知らない それでも慕う人がいる 声を知っている 思想を知っている 才能を知っている だからこそ慕う人がいる タップひとつで断ち切れる 会う約束など決してしない お互い素性を明かさない その儚さゆえ慕う人...
創作詩

「知らぬ振り」

群衆の中で、知っている顔を見つけた 間違いない 間違えるはずがない けれども 気づいていない振りをした 本当は声をかけたかったけれど 別れを告げずに立ち去った人 知らぬ振りをしたのは あの人への愛のつもり 雑踏の中で、知っている顔を見つけた...
創作詩

「好きでも嫌いでもない人」

好きでも嫌いでもない人に あなたが好き と言われた  好きでも嫌いでもない人なので 好きでも嫌いでもない人として接していたら あなたが嫌いと言われた 好きな人を嫌いになるには 随分と心の振れ幅が大きく 力を消費しただろうなと思った だから、...
創作詩

「僕に構わず」

僕に構わず行ってくれ 僕は誰とも歩いていない 僕に構わず笑ってくれ 僕は誰も泣かせたくない   僕に構わず愛を育め 僕は誰も愛さない 僕に構わず戯れて遊べ 僕は誰とも交わらない 僕に構わず行ってくれ 僕は助けを求めていない 僕に構わず君は行...
創作詩

「泥のように」

池の底に沈んでいる 黒く冷たい世界に 光は届かない 私の中で養分を蓄え 明るい空に向かって咲く その花は 清らかに眩い輝きを放ち 観衆を魅了している 泥のように生きてこそ その麗しさの真価を知る 生まれ変わりがあるとしたら あの花のように ...
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