ぼくのなまえはコンキリア

童話

ここはまちのレストラン。おなかのおおきなコックさんと、こえのおおきなおくさんがふたりでおみせをひらいている。

まいにちたくさんのおきゃくさん。

コックさんはおおいそがし。

おくさんがまたきょうもおおきなこえでちゅうもんをとっている。

「はい、グラタンひとつ」

「それから、ハンバーグふたつ」

「そちらはなににいたしましょう?」

おいしいりょうりがいつでもたべられると、まちではだいひょうばんのレストラン。

ちょうりばのたなのうえからにばんめのはしに、ぼくとなかまがならんでいる。

ぼくのなまえはコンキリア。パスタのなかまで、こむぎことしおでできている。

かたちはころんとまるくって、たべるとつるりんもっちもち。

どんなソースにもよくにあう。トマトソースにクリームソース、バジルからできたジェノベーゼ、にんにくたっぷりのオイルソースもおいしいよ。

ぼくのにいさんコンキリオーニ。おおきくてとってもかっこいい。

にくやさかなをおなかにつめて、パセリをぱらぱらのせるとまぁすてき。

それからみてみて、ぼくのいもうと。

コンキリエッテはちいさなちいさなおんなのこ。スープにいれるとおいしいよ。

あるひぼくらはきいてみた。

「コックさん、ぼくらのとうさんとかあさんはどこにいるの?」

「おやおやそれはむずかしいしつもんだ。」

コックさんはこまりがお。

そこでおくさんおおきなこえで、ぼくらにいったよ。

「そりゃあ、うみにきまっているさ」と。

ぼくとコンキリオーニとコンキリエッティはかおをみあわせて、どうじにいった。

「うみ?」

「そうさ、きみらはうみからうまれたようなものなのさ」

おくさん、あははとおおわらい。

ぼくらのざいりょう、こむぎことしお。ときどきたまごやほうれんそう。みずをまぜてこねこねすればパスタのきじができあがり。それをまるめてのばしてきって、フォークでくるんとめくれば、あっというまにコンキリエ。

そうそう、コンキリエっていうのは、ぼくらがたくさんあつまったときによぶなまえ。

おきなにいさんコンキリオーニ、ぼくとコンキリエッティにいったのさ。

「それならいまからさんにんで、うみまでたんけん、さぁしゅっぱつだ」

するとコックさんがいったのだ。

「もうすぐ3じ。さかなやさんがやってくる。はいたつがおわったらうみへかえるよ。いっしょにトラックにのせてもらえばいいさ。」

コンキリエッティはおおよろこび。

「わたしうみってはじめてよ。」

とけいのはりが3じをさした。ちょうどとまったこがたのトラック。

コックさんは、さかなやさんにたのんでくれた。

「もちろんいいさ」

と、にこにこえがおのさかなやさん。

こがたトラックのダッシュボード、はじめてみるものたくさんたくさん。

「ここはぼくじょう、みてごらん」

さかやなさんがゆびさすほうに、うまれてはじめてうしやうま。ひつじにぶたにうさぎににわとり。モォーモォー、ヒヒーン、メェメェ、ブーブー。ぴょんぴょんはねてるかわいいね。

とおくにまあるいみずたまり。

「あれがうみなの?」とぼくがきいたら、

 いやいや、あれはいけっていうのさ。」

さかなやさんは、あははとわらう。あひるが、がぁがぁないている。

「いけにはさかながたくさんいるが、きみらのとうさんかあさんは、うみにいるからここにはいない。」

さかなやさんはそういった。

しばらくはしるとみどりのじゅうたん。

「つぎにみえるはやさいばたけ。」

さかなやさんがおしえてくれた。

「あれはにんじん、ほうれんそう、じゃがいも、たまねぎ、ブロッコリー、きみらとあいしょうばっちりだ。」

とってもひろいはたけには、きいろのちょうちょうがひらひらと、おそらをまって、とってもすてき。

「ぼくらもそらをとびたいな。」

「わたしもそらをとびたいわ。」

しばらくはしるとがたがたみち。みぎへころころ、ひだりへころころ。

「ゆっくりはしってくださいな。」

「ほいきたりょうかい。」

さかなやさん。

「うみまでもうすぐ、あんぜんうんてん。」

おかをこえたら、ひろいそら。

「あれがうみだよ」さかなやさん。

はじめてみたよ、ひろいうみ。

あおくてきらきらひかっている。ゆらゆらゆれるしろいなみ、とおくでいるかがおよいいでる。

しろいすなはまつづくよつづく。

こがたトラックゆっくりとまり、さかなやさんがぼくらをおろしてくれた。

ゆっくりあるくさかやなさん。あるくたんびにキュッキュッとなるよ。

ぼくらはドキドキとまらない。

ザザーときこえるなみのこえ。

さかなやさんがいったのさ。

「これがきみらのとうさんかあさん。」

さかなやさんがゆびさした、そこにみつけたかいたちは、まるでぼくたちそっくりなきれいなきれいなかいだった。

「やっとあえたね、とうさん、かあさん。」

ぼくらはとってもうれしくて、さかなやさんにいったのさ。

「あわせてくれてありがとう。とうさんかあさんと、ぼくらをいっしょにりょうりにしておくれ。」

「よしきた、まかせろ」

さかなやさん。

とうさんかあさんうみからひろい、うみべのいえにつれかえる。

かいをあらってしおこしょう、ぼくらをゆでて、バターでいため、おおきなスプーンでおくちにはこび、あっというまにたべちゃった。

コメント

PAGE TOP